数分で読める小話を置いてます。 暇潰しにはなるかもしれません。
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新女のEXタッグリーグ、その裏でWCWW今年最後のシリーズは行われていた。 注目度においてはやはり全国ネットのEXに負けるものの、WCWWのファンやまた業界的にはこちらもすでに注目のシリーズでもある
この流れを作るためだった連続タイトルマッチのシリーズは今年いっぱいまでだ。 そうでなければファンにも飽きられてしまうしタイトルの価値も損なわれる
今後団体を引っ張っていくだろうと思われた小縞を倒し2冠王者となったアドミラル。 やはり団体を引っ張るのはヘビー級になるのかな、と思わされた
さて、そのアドミラルだが、防衛戦はどうなるか。 先輩である楠木が立ち向かう。 これにより一通りうちの注目株をタイトルマッチの舞台に上げ、世間様へのアピールが済むことになる。 そのためのカードだ。 ただ正直私の予想ではアドミラルの勝ちと踏んでいた。 それは先シリーズのアドミラルの小縞への勝ち方が鮮やかだったからだ、これは当分勝てる選手が出ないかもしれない・・・そう思わされたものだ
ところが私はまた予想を外す。 まだまだ選手たちの力が見えていない、と少々へこまされた
まさかアドミラルが両方奪われるとは全く予想をしていなかったのだ。 楠木が第5代BDヘビー、第9代WARS無差別の2冠となったのであった
この連続タイトルマッチシリーズの間、防衛は小縞のそれぞれ1回だけで目まぐるしくタイトルが移動していった事実は、経営面においては素晴らしい成果を出したが、団体としては必ずしも望む形ではなかった。 というのも団体としてはエースをはっきりさせたかったのだ。 そこから生まれるムーブメントが次へのステップになると考えていた。 もちろん今の状態もダメというわけではない。 しかし柱は据えておきたいと思っていたのだが・・・これでは誰が柱となるのか・・・
「社長、難しい顔をしてらっしゃいますね・・・?」
「ん・・・霧子くんか・・・」
「興行は大成功だったかと思いますが・・・EXのことですか?」
そう、メロディたちを送っていたけれど、興行はまさに大成功といってよかった。 顔をしかめる理由がない、ふつうなら
「今回だけで見るなら大成功ではあるが・・・今後のうちをどう見せていくかという点では少々難しくなってきたな、とね」
そう言うと霧子くんはきょとんとした顔を浮かべる。 そして笑って言った
「その答えは彼女たちが教えてくれますよ」
言われて私も少々考えすぎていたことに気付く。 そうだ、リングに上がる彼女たちが答えを見せてくれる。 フロントはあまり介入するべきではなかったな・・・
「・・・そうだね。 ちょっと考えすぎていたようだ」
そして年末恒例のプロレス大賞の発表が行われた。 早瀬が新人賞をメロディ対ノエルがジュニア賞をもらう。 大賞はマイティ祐希子であった
「龍子はまだいけると思っていたが、WARSベルトを奪われたからなぁ・・・。 それに対してマイティはアジアヘビーとNJPWヘビーの2冠で防衛も重ねてる。 この受賞は必然かもな」
「まぁくやしいけれどあんな試合見せられちゃ文句の言いようもないですね」
楠木がそう言うと
「あんな試合でごめんなさいね」
とメロディが言った
「あっ、いやそういうつもりじゃないんですっ、メロディさんっ」
「私も別に嫌味とかじゃないわよ。 本当あそこまで強いとは思わなかったのよね」
「でもメロディさん凄かったですよ! 私凄い感動しましたっ!」
小縞が当時と同じようにきらきらした目でメロディに言う
「ありがと。 でも・・・来年は倒さないとね・・・来年こそはうちが優勝しないとうちは結局『新興団体』の枠から抜けれないわ」
「メロディの言う通りだ。 誰が行くことになるかはさすがにまだ気が早いが来年は確実に取りに行く。 みんな頭のどこかに置いておいてほしい」
「ねー社長?」
「なんだ真鍋」
「それって誰の腰にベルトがあってもってことー?」
にやにやと笑いながら聞いてくる。 わかってて聞いてくるからこいつにも本当困る
「・・・王者は出さないよ。 うちは新女を超えるからね。 わざわざ王者が相手するつもりはない」
「やっぱそっかー・・・。 うちで王者として興行出るのとEX出るのはどっちがおいしいかなぁ」
「タイトル持ってからそういうことは言えよ・・・。 って、そうそう、それだ」
「ほへー? それだ、って?」
「新年、というかこれからのWCWWとしてもそろそろ看板が必要な頃合いに来た。 すでに作らせているが、WCWW無差別級ベルトを用意している」
「「!」」
皆の目の色が変わる。 当然ではあるが
「これに伴い、来月はその挑戦権を賭けたリーグ戦を行う。 決勝のカードで春にWCWWタイトルマッチを行う。 参加・不参加は自由とする」
「不参加自由は余計だね、社長。 あたしが行けるとは思ってるわけではないがここの選手である以上チャンスはありがたくもらうよ。 皆もそうだろう?」
ケルベロスが言うとみな頷いた
「そうだな、済まない。 来月みんながんばってほしい」
そして新年興行、予告通りのWCWW全員でのリーグ戦。 おおよその予想通り、決勝のカードは楠木対アドミラルであった
私が思っていた以上に楠木とアドミラルが団体を動かし始めていた。 新しい流れが始まろうとしていた
(終)
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