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 (ザギヴED? 旅先 エレンディア)



 遅くなりましたが、アンケートに答えてくださった方に感謝をこめて。 こんなので申し訳ないですけど。

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「…だいぶ復興は進んできているようね」
「そうね」
「傷跡は小さくないけれど、これなら…」
 あちこちに活気のある声が聞こえる。 明日を生きる人々の姿を見ながら、エンシャントの街をザギヴと二人で歩く。

 巡察している内に街はずれの方、墓地の近くまで歩いてきてしまった。
「あ、へいかー」
 小さな女の子が笑顔で寄ってきて、手に持った花を差し出す。
「おはな、あげるー」
「ありがとう。 きれいなお花ね」
 しゃがんで女の子と話す。
「はい。 エレンディアにもあげるー」
「ありがとう…って…。 あなた…ハンナ? あれ? どうしてここにいるの?」
 花を差し出す女の子に見覚えがある気がしていたが、実際知っている女の子であった。 ロストールのスラムで知り合ったその子の名はハンナといった。
「エレンディアにあいにきたのよ」
「えっ、私に? どうやってここまで?」
「それは俺が連れてきたんだ」
 不意にかかった声に顔を上げると、少し離れた場所に立つ見知った顔。
「ゼネテス!?」
「デートの邪魔をする気は無かったんだがな。 すまないな、陛下」
「あ、そ、そんな、その。 な、何なの、あなたっ」
「相変わらずねー、ゼネテスは」
 ゼネテスの軽口にらしくなくうろたえるザギヴ。 助け舟かわりに私が話す。 それで幾分落ち着いたのか、ザギヴがいつもの調子に戻って話し出す。
「あなた、どうしてこんな所に? ロストールの状況はどうなっているの?」
「ああ、それなんだが…。 少し頼みがあってきたんだ」
「何かしら。 ファーロス国防総司令殿直々とは怖いわね。 ここで話すの?」
「いや城に行ったら、『巡察に出た』って言われたんでな」
「? じゃあ、正式な国家要請なの? なのにハンナを連れてきたの?」
 思わず口を出す。 するとゼネテスは頭を掻きながら苦笑して言う。
「あー…その、それは…」
「わたしがゼネテスにたのんだのよ。 つれてって、て」
「どうして?」
「それは…」
「こらこらハンナ、言ったろ? それはここでは言わないでくれ」
「仕方ないわね、城に戻りましょう」
 ため息をついてザギヴがゼネテスとハンナを見、私の方を向き頷く。
「そうね。 では陛下、ゼネテス閣下。 城までご案内致します」
「わたしは?」
「ごめんなさい、後でね」
 そうハンナに謝ると、ゼネテスが口を出す。
「いや、ハンナは使者だ。 俺は使者の護衛とフォローってところかな」
「その子が使者?」
「ああ。 冗談じゃあねえよ」
 眉をひそめるザギヴ。 私も腑に落ちないが、自分の役割に従う。
「では陛下、ゼネテス閣下、使者ハンナ様。 城までご案内致します」 
「近衛将軍直々の護衛とは痛み入るね」
「よく言うわよ」

 偽りの神となったエルファスを倒し世界の人々にソウルが戻った後、ザギヴはネメアさんの意向によりディンガル帝国皇帝に即位し、私はその近衛将軍となった。
 ネメアさんは皇帝をザギヴに任せると自分はどこかに消えてしまった。 ベルゼーヴァは宰相を辞そうとしたが、ネメアさんの指示でいまだディンガルの要である。
 皇帝になったザギヴはまずロストールと終戦し友好同盟を結び、主だった者の亡くなったロストールを援助した。
 カルラは嫌がったが、最終的には渋々従った。 彼女も今では国防の最高司令官になり、相手のいない軍隊に厳しく修練させている。 たまに会いに行くと相変わらずでこっちを困らせては笑っている。

 ロストールはディンガルの支援を受けていても状況は極めて困難の様子を見せていて、復興がうまく進んでいない。
 新女王の下、階級社会の撤廃を望んではいるが、人材不足のため国の復興が遅れていてそこまで手が回らないのだ。

「それでは聞きましょうか」
「現在のロストールの状況は知っての通りだ。 今だ復興は芳しくない。 ディンガルの支援に感謝はしているが、人材不足はどうにもならない」
 姿勢こそ直立であるものの、口調はざっくばらん。 状況が変わったにも関わらずゼネテスは変わらないようで、私は口元を緩める。
「民衆の支持を得てはいるが、新女王はそもそも目のハンデから抜けたばかりでまだ政務に携わるには時間がかかる。 エストもよくやってくれてはいるが、もともとが学者なだけに手際が悪い」
「…なるほど。 アイリーンは?」
「彼女は俺の下で国防及び国内警備だ。 政務とは関係無い。 …ま、民衆の代表的位置付けだから、苦労はしてるだろうがね」
 アイリーンがんばってるのか。 不器用な彼女が暴れているのが目に浮かぶ。
「で、仕方ないから形になるまで俺が政務の方に取り掛かりたいんだが、アイリーンは感情的になりやすいんで国防関係を完全に任せられない。 そこでお願いがある」
「…何なの?」
「人をしばらく借りたい」
 それを聞くとザギヴはため息をつく。
「ディンガルも人材不足は変わらないわ。 支援だけでも感謝して欲しいところだけど?」
「いやそれはわかってる。 ただロストールの連中はあまりにも幼く拙い。 陛下や宰相閣下、そしてカルラ総司令とは比べようも無い」
「そうかもしれないけど…」
「ひと月、それも人材は一人でいい。 それで頼めないだろうか?」
「宰相も総司令も動かせないわよ」
「いや、彼らは求めてない」
「当然私も無理よ」
「わかってる。 そんな無理を言いやしないさ」
「それなら…」
 仕方ないという表情でザギヴが頷く。 それなりの支援をしているわけだし、これ以上ロストールの復興が遅れるのは見過ごすわけにはいかない。
「そうかっ。 …では改めて女王よりの要請を報告致します」
「?」
 ザギヴの返事を聞くや、ゼネテスが口調を変える。 その態度にザギヴも私もいぶかしむ。
「ロストール女王、アトレイア・リュー。 並びに政務補佐、エスト・リューガの能力補佐に国防総司令ゼネテス・ファーロスを一時的に執務次官に専任するにあたり、ディンガル帝国の精鋭の協力を要請します」
 ゼネテスが宣言するかのように高らかと話す。
「国防総司令副官、アイリーン・エルメスの監査及び指導のため、ディンガル帝国近衛将軍、エレンディア・ロス殿の派遣を望みます」
「なっ!?」
「はっ? わ、私!?」
 唐突に自分の名前が呼ばれ驚く。 だけど、ザギヴの方がよっぽど驚いていた。
「だ、だめよっ! エレンディアはだめよっ!」
「先程皇帝陛下の許可を伺った際に、名前の上がった方々の中に近衛将軍は入っていなかったので問題はないかと」
 しれっとした顔でゼネテスが言う。
「そ、あ…、こ、近衛将軍は私の警護を任されていますっ。 そうそう任を離れてもらうわけにはいきませんっ!」
「しかし近衛将軍にも部下くらいはいるでしょう。 わずかひと月の間ですので、その間くらいなら問題は無いと思われますが。 どうでしょうか、宰相閣下」
 ずっと黙って聞いていたベルゼーヴァは、ザギヴとゼネテスを見てため息混じりに口を開く。
「確かに問題はないでしょう」
「え、そ、そんなことっ…。 ベルゼーヴァ様!?」
「陛下は少々近衛将軍に頼りすぎなきらいがあります。 少し離れる点については賛成でもあります」
「エレンディアっ!?」
 ザギヴが心細そうな顔で私を見つめる。 いつもなら二人きりの時くらいしかこんな顔見せない彼女が珍しい。 それだけ信頼されていることは素直に嬉しい。
「ほら、ハンナ。 ここで言うんだ」
「う、うん…」
 さっきから居心地悪そうにしてゼネテスの後ろに隠れていたハンナをゼネテスが前に押し出す。
「エレンディア、ろすとーるにあそびにきて? みんなあいたがってるよ? アトレイアもあいたいって」
 ハンナがじっと私を見つめて訴える。 うう、こんなのなんて答えろって言うのよ…って、ゼネテスったら、だからハンナを!
 どうやらザギヴも気づいたらしく、露骨に不快そうな顔をしてゼネテスを睨む。 しかしゼネテスは素知らぬ顔で受け流している。

 結局私はロストールに行くことになった。

 道中、ハンナの手を引いて歩きながら私はゼネテスに言う。
「あーいうやり方ってよくないと思うなー。 あの後ザギヴ荒れてたわよー」
「ははっ、泣かしちまったか。 それはマズかったな」
「怒ってたのよ。 どんな仕返しするかわかんないわよ、彼女」
「かー、怖いね。 …ま、だけどさ、これしか手が浮かばなかったんだ。 お前さんを連れ帰る手段が」
 頭を掻きながら苦笑を浮かべゼネテスは言う。
「アトレイアにお前さんを連れてきて欲しい、って頼まれたもののどうすればいいか困ってなあ…。 困ってスラムで飲んでて、出たところでハンナに会って…てなわけさ」
「わたしもエレンディアにあいたかったもん」
「まあ、そりゃあ私だって皆には会いたいとは思っていたけどさ。 うーん、ザギヴ大丈夫かなー」
 旅立つ時城門前まで私を見送ってくれた彼女の淋しそうな顔が思い浮かばれてくる。
「彼女はなんだかんだ言ったって強いから平気だろうさ。 ベルゼーヴァもいるしな」
「そうだけど…」
「…」
 ふと気づくとゼネテスが私をじっと見つめている。
「どうかした?」
 尋ねると視線を逸らしてゼネテスは言う。
「…ま、アレだ。 こっちにも甘えん坊がいるから、しばらくはそっちに気を回してくれ。 お前さんが甘えん坊にしたんだからな」
「私なのかな?」
「はあ…。 そりゃ本気で言ってんのかい? お前さんは手に負えないな」
「ちょ、ちょっとっ。 何よ、それ」
 ひどく人聞きの悪いことを言われる。 心外ですね。 …と思ったが、先日カルラが言ってたことを思い出す。

『エレンディアはさー。 誰彼構わずちょっかい出すんだよねー。 ひどいよねー』
『何よ、それ。 どういう意味よ』
『自覚無いのが手に負えないっての。 振り回される身にもなってもらいたいってー』
『私が、あなたに、振り回されてるのっ』
『ちっちっち。 ぜーんぜんわかってない。 あたしも振り回されてるんだってば、エレンディアには』
『どう振り回されてるって言うのよ』
『あたしの口からは言いづらいよねー。 一応振り回されてる内の一人だし』
『もうー。 何言ってるのかわかんないわよ』

 …なんか同じ事言われてる? 皆ひどい…。 私が何したって言うのよ。



「ディンガル帝国近衛将軍、エレンディア・ロス殿をお連れしました」
 随分と久方ぶりに訪れたロストール王宮は閑散としていた。 主だった者達は亡くなり、階級社会の撤廃を望んでいるからだとは思うが、なんだか淋しい気分になる。
「エレンディア様っ」
 玉座にいた美しい少女が走り寄ってくる。 ロストールの新女王、アトレイア・リューだ。
「ふふ、久しぶり。 アトレイア」
 胸に飛び込んだアトレイアを抱きしめ、私は囁く。
「エレンディア様ひどいです…。 あれから全然会いに来てくださらないなんて…」
「あはは…、ごめんね。 私も近衛将軍になったから前みたいには自由に動けるわけじゃないのよ」
「…どうしてディンガルの将軍になられたのですか?」
「えっと、それは…」
 返答に困り、アトレイアから視線を逸らす。 どうしてって…えっと…。
「『陛下』。 あまり客人を困らせるもんじゃないぜ。 とりあえずひと月はいてくださるんだ、十分話す時間はあるだろ」
 困り果てていると、ゼネテスが助け舟を出してくれた。
「あ、ゼネテス様…そう、そうですね。 ごめんなさい、エレンディア様。 私ったらエレンディア様に会えたのが嬉しくって…」
「…うん。 私もアトレイアに会えて嬉しいわよ? だから謝らないで、ね?」
「エレンディア様…」
 うっすらと頬を赤らめアトレイアが熱っぽく私を見つめる。
「さあ陛下。 こちらも約束を果たしたし、しっかりやってもらわないと困るぜ?」
「あ…は、はいっ」
 横からかかったゼネテスの声に、アトレイアは満面の笑みで答えた。



 そしてそれから、とやかく理由をつけてロストールに連れて来られたものの、実際には私はただのお客様となっていた。
 一応便宜上はアイリーン国防総司令代理の監督と言うことだが、彼女も青竜軍副将をやっていただけあって私が口を出す必要もない。 ま、たまに感情的になりやすい彼女にブレーキはかけるけど、特別することもなく、何かとアトレイアの所に顔を出してばかりの日々。

「どうですか、エレンディア様? 私少しはうまくなったでしょうか?」
 今日も今日とてアトレイアお手製のお菓子を食べていたりする。
「『少し』じゃないわよ、『かなり』よ。 本当おいしい、凄いわねー、アトレイアは。 …って、あ、女王様は」
「やめてください。 エレンディア様にそう呼ばれるのは私嫌です」
 拗ねた様子で私を睨む。 その顔を見て私は知らず微笑む。
「もう、エレンディア様っ。 どうして笑うんですのっ?」
「…うん、なんだろう…嬉しいなって思って、ね」
「どういう…ことですの?」
 怪訝そうな顔でアトレイアが私に尋ねる。
「出会った時、アトレイアはきれいだけど陰が差していた。 それを越えたらすぐにまたいろいろな出来事があって、アトレイアはたいへんになっちゃって…」
「…」
「悲しい別れもあって、突然の重責もかかって、また陰が差してしまうんじゃないかなって不安だった。 だけど今こうして会って話してて、こんなにいろんな表情でかわいくなってて、本当嬉しいな、って思って」
 もちろん実際私の見てない所で苦しんでいたりもするかもしれない。 だけど、こんな顔ができるのであれば、再び陰が差すことはないだろう。
「初めて会った時思ったもの、こんなきれいな子がこんな所で寂しそうにしてるなんておかしいって。 こんなきれいな子はもっといろんな人に愛されるべきだって」
「そ、そんな…エレンディア様」
「私は…こんなだから、あなたはもっと輝いてて欲しいの。 私がなれない眩しいくらいのいい女でいて、アトレイア」
 例えるなら宝石。 輝く宝石は人の目を惹きつける。 私の目を奪う、心を惹きつける、そんな存在でいて欲しい。
「………」
「アトレイア?」
「…エレンディア様はご自分を理解されていませんわ」
 アトレイアが私を真っ直ぐに、そして熱っぽく見つめ少し怒ったように言う。
「え?」
「エレンディア様こそ眩しいくらいに輝いてます。 そしていろんな方に愛されています」
 言いながらアトレイアが椅子を離れ、ゆっくりと私に近寄る。
「…もちろん、私も愛しております」
 そう言ってうっすら頬を染めたアトレイアは私に抱きつく。 座っているところに抱きつかれ、私は支えきれず椅子ごと倒れる。
「あ、たた…。 えっと、アトレイア大丈、夫?」
 覆いかぶさるような体制のままアトレイアが私の顔を覗き込んでいる。
「エレンディア様、私は…」

「失礼するわっ!」
 唐突に勢いよく扉が開かれる。
「きゃっ」
「何っ!?」
 あわててそちらに目を向けると、扉のところでザギヴが怒った顔で睨んでいて、その後ろに困った顔で頭をかくゼネテスと呆れ顔のカルラがいた。
「あれ? えっと…ザギヴ、どうしたの?」
「どうしたの、ですって? それは私の台詞っ。 あなたいったい何をしてるの!? 何それはっ!」
「え? あ、ああ、今倒れちゃってね」
 そっとアトレイアが離れる。
「まーまー、落ち着きなさいよ、陛下。 らしくないわよん」
 カルラがザギヴに声をかける。 立場的には不適当な言い方の気もするけどカルラはやめない。 でもそこがカルラのいい所でもある。
「ん…そうね。 …突然に失礼したわ、アトレイア女王。 今日はロストールの復興の様子の確認と近衛将軍の仕事ぶりを見に来たのだけど、近衛将軍は女王と歓談中と聞いたので失礼させてもらったわ」
「それはようこそいらっしゃいました」
 女王の顔になって挨拶を返すアトレイア。 私といる時との違いに驚いたけど、よく考えれば当然のこと。
「今将軍には休憩していただいていた所ですわ」
「休憩、ね」
 カルラがニヤニヤ笑いながら私を見る。 何よ、何か言いたいわけ?
「…」
 ザギヴが私とアトレイアを交互に睨み、口を開く。
「先ほど国防総司令代理アイリーン・エルメス殿の仕事ぶりは拝見させていただきました。 十分な仕事ぶりに関心させられましたわ。 もう将軍の力は必要としていないんじゃないのかしら?」
「お褒めに預かり恐悦至極です。 けれどアイリーン様はまだまだ未熟。 将軍様のお力に頼る部分が大きいです。 どうぞお約束の期日までお待ちください」
 …えっと、なんか変な空気になってるような……。
「けれど実際アイリーン殿はディンガルで副将軍を務めた事のある方、そこまで補佐を必要とするのでしょうか?」
「今は軍ではなく国を相手にしていますので。 規模が大きくなった分負担が大きく変わっておりますでしょう? それは皇帝陛下も十分ご理解されているかと存じます」
「…しかし、あの有能な方がそこまで時間を必要とするのでしょうか?」
「普段であればファーロス卿の力も借りられますが、そうはいかないためにご協力をいただいております。 どうぞ長期的視野でお願いいたします」
「…」
「…」

 睨みあいを続ける二人からそっと離れ、私はカルラとゼネテスに近寄る。
「…どうしよう?」
「いや、そう言われてもな」
 困った顔で頭をかくゼネテス。 するとカルラが私を見て言った。
「だから言ったでしょ? みんなあんたに振り回されてる、ってさ」
「…私が何したって言うのよー…」
「自覚がないから救いがないやね。 そう思わない? ゼネテス」
「まあな。 これじゃ誰も報われんさ」
 ひどい言われようにもほどがあると思うんだけど、どうなのかな二人とも?

「埒があかないわね。 もう十分だと思います。 近衛将軍、帰りましょう」
「あら。 エレンディア様はお仕事放棄なんてなさいませんわよね?」

「ほらお呼びよ」
 カルラが私の背中を押す。
「ちょ、ちょっとっ。 あ、あの、二人とも落ち着いてさ…」
「エレンディアっ!」
「エレンディア様っ!」



 世界の平穏は訪れても、私の平穏はまだまだ遠いみたい…



(終)
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