忍者ブログ
数分で読める小話を置いてます。 暇潰しにはなるかもしれません。
[65]  [64]  [63]  [62]  [61]  [60]  [59]  [58]  [57]  [56]  [55
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 (団体二年目ころ)



 註・この小話はレッスルエンジェルスサバイバーとアカイイトの両ゲームをプレイされた方でないと意味がわからない可能性があります。

拍手


「前回はいきあたりばったりで適当過ぎた。 リベンジとなる今回はちゃんと配役から丁寧にいこう」
「それはいいけど社長」
「なんだ、祐希子」
「なんで霧子さんいないの?」
「…有休だ」
「有休ー? 前回もそうじゃなかったっけ? ねえ真田?」
「そっスよ」
「ほら、逃げた人間の事話してもしょうがない。 さっさと決めていくぞ」
「んー」

「じゃあまずヒロインの羽藤桂役だが…まあ前回と同じく遥でいいだろ」
「…えっ!?……い、いや……」
「で、次に子ど…若杉葛役は優香」
「イヤですっ」
「…なんでだよ」
「…わ、私も……い、いや…」
「こんなのやってたら呪われちゃいますよう。 怖いじゃないですかーっ」
「大丈夫、大丈夫。 なんてことないって」
「だいたい今名前の前になんて言おうとしましたっ、社長っ」
「…いや? 別に何も?」
「子供って言おうとしたじゃないですかーっ。 ひどいですよー、社長っ」
「まあ優香はお子様だしねー」
「祐希子さんまでなんですかーっ。 私イヤですーっ」
「さて次は浅間サクヤ役だが…マッキーで」
「無視すんなーっ」
「…わ、私も……い、いや…」
「うえ、かったりー」
「いいじゃない。 あなたにぴったりよ」
「そりゃどういう意味だい?」
「力任せで粗暴で出るとこ出てるくせに色気が無いなんて、あなたのハマり役じゃない」
「ほう…うっちー言うじゃない」
「人の事変な名前で呼ばないでくれるかしら」
「あー、そこ。 勝手に喧嘩すんなー。 で、次ー、ユメイ役はラッキーな」
「社長話聞けーっ」
「まあまあ優香落ち着いて。 後でカレー奢ってあげるから♪」
「………」
「あれ? 優香? もしもーし?」
「社長、優香さんが気絶しましたが」
「ああいい、みことほっとけ。 必要な時起こせばそれでいい。 それまで静かで助かる」
「なんか社長やさぐれてないっスか…?」
「…あ、あの……わ、私も……」
「私がですか? 社長」
「へっ。 存在感の無いお化けみたいなもんってこった」
「ああ。 うちは清楚な人材が少ないんで拒否権はなしだ。 代替要員がまるでいないんでな」
「ちょっと待て、コラ、社長っ」
「うん。 今のは聞き捨てならないなー、社長。 私がいるじゃない?」
「…」
「…」
「…」
「ちょっと何よ。 皆黙っちゃってー」
「……わ、私も……い、いや…」
「で、千羽烏月役なんだがー…、って、祐希子さん何で机に乗るのかな?」
「ねえ社長? 私じゃ不満なのかしら?」
「えーっと………あ、そ、そうっ! ほら次の『アオイシロ』で人魚とかでるかもしれないし、その時祐希子にはお願いしたいなーって! ほら、お前、人魚似合うし!」
「あら? そう? んもうっ、社長ってばー。 私照れちゃうじゃないー」
「何スか? 人魚って」
「ウフフ、それは私と社長のひ・み・つ♪ ね、社長?」
「この前のバカンスで人魚のマネして貝殻を…」
「こらーっ、何バラしてんだーっ!」
「……あ、あの……あの……」
「それはさておいて、千羽烏月役なんだが、当初みことを予定していたのだが…まあ新人披露を兼ねて今月入った葛城で」
「なっ!?」
「ええー? じゃあ社長、私は?」
「えっ? お前は前回同様友達の奈良陽子役で…」
「ちょっとー。 仮にも団体トップに対してそれはないんじゃないのー?」
「いや、真田より出番あるし…」
「自分は誰をやるんですか?」
「えーっと…同じく友達の東郷凛」
「声すらないじゃないっスかーっ! どういうことですかーっ!!」
「…あ、あの……わ、私も…」
「社長」
「なんだ? 葛城」
「断る」
「ダメ。 それでみことは…あー、その前にそこの逃げようとする新人を誰か捕まえろ」
「断るっ。 なんでそんなことをしなければならないんだっ」
「これも仕事ですから」
「社長っ。 こいつで予定していたならこいつにすればいいじゃないかっ」
「そうか? じゃあ千羽烏月役はみことで」
「はい」
「で、葛城はケイ役に変更」
「待て」
「ちょっと社長っ? 私の話終わってないんだけどっ」
「なんで自分だけ出番ないんですかーっ」
「あー、じゃちょうどいいや、祐希子と真田は双子の鬼ノゾミとミカゲ役も兼役で」
「祐希子さんと双子っスか?」
「社長、それは無理よ」
「まあほら、人数いないし多少は無理もあるさ。 それに真田は髪を下ろすとかわいいと思うんだが」
「そ、そんなことないですよ…」
「こら社長っ、何真田口説いてんのよっ!!」
「……わ、私も……い、いや…」
「だいたい私にそんな子供の役なんて多少の無理ですまないでしょっ」
「平気平気。 頭は…さ、じゃ皆衣装合わせ始めて…」
「こらーっ! 今頭の中子供、って言おうとしただろーっ!」
「衣装はこの中に用意してあるから着替え終わったら呼んでくれっ。 じゃっ」
「待てこらーっ! 社長ーっ!」
「……あうぅ……」

「おー、いいじゃないかー」
「……あ、あの……しゃ、社長…わ、私……」
「おお、遥かわいいじゃないか」
「……あ、あの……その……」
「ラッキーの着物姿もいいなー。 いや綺麗だよ」
「そんなこと…」
「よう社長、アタシは?」
「なんか自然だな。 結構意外だ」
「まあな。 普段ならジーパンだけどな。 ちょい胸目立ちすぎじゃねえか?」
「平気でしょ。 胸というより胸筋なんだし」
「…おいうっちー喧嘩売ってんなら買うぞ?」
「だから変な名前で呼ばないでって言ってるでしょっ」
「みことのスカート姿は新鮮だな」
「はあ。 …ただどうも落ち着きません」
「ま、慣れだ。 我慢してくれ」
「はあ」
「優香は…ああ、着せてくれたのか。 さすがにハマってるな、うん」
「…しゃ、社長……わ、私…」
「社長」
「うん? おお、葛城かっこいいぞ」
「…」
「どこから見ても美少年だ。 いいぞ、葛城」
「どこを見て言っている」
「さて、あの2人は…」
「待て、社長」
「ほら、やっぱり真田は髪下ろすとかわいいじゃないか」
「そ、そんなこと…」
「私は? 社長」
「ああ似合ってるよ」
「でも社長、これ動いたら見えちゃうんだけど」
「何が?」
「え? そ、そんなこと言えないよ…しゃ、社長のバカ…」
「はい?」
「……あ、あの……い、いや…」
「お? なんだようっちー。 着物は下着つけないんじゃないのか?」
「ちょ、ちょっとっ! 何捲ってんのよっ、あなたっ!?」
「ブラは場合によりけりですが、普通は着てますよ、マッキーさん」
「なんだ、そうなのか」
「はい」
「いいから放しなさいよっ!」
「えっ!? 着けてていいのっ、みこと!」
「はい」
「ええーーーっ!? マズいよっ、真田っ!」
「だから言ったじゃないっスかーーーっ!」
「なんだ?」
「あ、あはは、はは。 な、なんでもないなんでもないっ」
「そ、そそ、そうっス。 なんでもないっス」
「おい社長っ! っと、スマン」
「え!?」
「あ!?」
「ん? うわっ!」
「痛つ………って、キャーーーーーーーーっ!!!」
「ううぅ……い、いやあーーーーーっ!!!」
「え? あ」
「見るなーーーーーっ!!!」
「いやぁーーーーっ!!!」
「え、ちょ、ちょっと待てっ! ここは床の上っ…」
「あー…」
「おお、いい合体技じゃねえかっ。 見ろ、うっちー」
「だから離しなさいってのっ!」
「…あ……しゃ、社長……?」





 入院中の経営は井上クンがしっかりやってくれているらしい。 選手達は代わる代わる見舞いにやって来たが、祐希子と真田は未だに来ない。

 井上クンによると、選手総意で特別公演は反対となり、今後は拒否とのこと。 準備だけでも結構金かかっているんだが………まあいいか。 なぜだか全てを許せる自分がいた。

 幸せはどこからやってくるかはわからんもんだ。 病院のベッドで一人頷いた。



(終)
PR
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
メルフォ
カウンター
プロフィール
HN:
あらた
性別:
非公開
忍者ブログ [PR]