忍者ブログ
数分で読める小話を置いてます。 暇潰しにはなるかもしれません。
[128]  [127]  [126]  [125]  [124]  [123]  [122]  [121]  [120]  [119]  [118
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

初年度年末



拍手





 年末に新女からEXタッグリーグへの誘いが来た。 WCWWの名前に興味を引いたらしい。 しかしこちらはまだ立ち上げまもなく新女の引き立て役になる気はない。 丁重に断っておく

 ドサ周りの興行が続く中、私はさらに経営負担を重ねる。 まだデビューもしていない小縞を海外遠征に送ることにしたのだ

「えーっと、いいんでしょうか?」
「何言ってるんだ、小縞。 むしろ今しか行かれないよ。 力がついてきたらリングで活躍してもらわないといけないんだし」
「あー、なるほどー・・・まぁ海外のレストランは参考になるかもですよね」
「・・・君の実家のお店のことよりレスリングを身に着けてきてね・・・」

 そしてEXが終わり、プロレス大賞の発表

 うちからはメロディが新人賞に選ばれた。 正直賞とは縁がないだろうと思っていたため、ありがたい収入であった。 大賞はWARSの龍子、私としても納得の受賞である

「龍子か・・・やはりな」
「そうですか? マイティさんかと私は思っていましたが・・・」
「マイティは華もあり新女の要ではあるのだが、いざ直接対決なら龍子の方が今はまだ上だろうかと思う。 実際どうかはさておきとして、マイティはボンバーとのタッグの印象が強い選手だから、ピンで見るなら龍子になるのは当然かと思うわけだ」
「なるほど・・・しかしタッグはタッグで大事とは思います。 うちにはまだ・・・」
「そうだな、課題は多すぎだ。 ははは、まぁゆっくりがんばっていこう」

 ノウハウは持っていても今の我らは新興の小さな団体にすぎない。 だからこそ数年先を見据える。 こちらに力が付いた頃には新女とWARSは主力が引退であろう・・・そう思うと一抹の寂しさはあるのであるが・・・。 新人をさらに増やし未来を楽しみに鍛えていく。


 そんな中のことだった

「社長っ、すげーことになったねぇ」
「なんだいきなり真鍋」
「あり? まだトースポ見てないの?」
 そう言って丸めたスポーツ新聞をバトンのように渡してくる
「うちはまだ話題に昇るほどのネタがないからなぁ・・・にしても、なんかこれオヤジくさいな、お前」
「よけーなお世話。 ほれ早く見て」
「なんだよ、そう急かすなよ・・・」
 すると突然ジムの扉が勢いよく開かれる。
「おぉいっ、社長、ここかっ。 見たかよっ、新聞っ」
「おいおい、ケルベロス勘弁してくれよ・・・心臓が止まるかと思ったよ」
「ああ? それどころじゃねーだろ、おい」
「だよねぇ。 ほらーさっさと見なってー」
「なんなんだ・・・えーっと・・・」

『WARS至宝流出! 時代の終焉か!?』
 WARSを長らく支えてきたエース、サンダー龍子。 しかし先のシリーズにおいて、シングルをフリーのビューティに、タッグをGWAタッグに相次いで奪われた。 至宝を取り戻すべくのリベンジであった今シリーズ、エースは奪い返すことができなかった。 WARSの絶対的エースであり去年のプロレス大賞者に、ついに陰りが見えてきたと言えよう

「なんと、まぁ・・・あの龍子がねぇ・・・」
「いやいやー、私の時代が見えてきたねぇ」
「ばぁか、デビューもまだの新人がナマ言ってんじゃないよ。 あたしがちょっと揉んでやるからリングに上がりな」
「あーっと、そうだ、ロードワークの時間だー。 それじゃケルベロスせんぱーい、またー」
 逃げるようにジムを出て行く真鍋。 まぁ見慣れた光景だ。 別に練習はサボってるわけでもなしほうっておく
「ったく、あいつは口だけは調子いいな」
「まぁまぁ、あいつはそこが良さでもあるさ」
「まぁ・・・わかっちゃいるさ・・・。 にしても、これはおもしろいことになったものだねぇ」
「ああ、確かに。 お前たちより私の方が実におもしろい」
「あん?」
「すぐにわかる」


 3月、関東周りのWCWWの興行に、フリーの市ヶ谷とGWAが参戦することになったのであった・・・



(終)
PR
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
メルフォ
カウンター
プロフィール
HN:
あらた
性別:
非公開
忍者ブログ [PR]