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数分で読める小話を置いてます。 暇潰しにはなるかもしれません。
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3年目5月~6月



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 3年目5月、小縞が海外遠征から戻り遂にデビュー。 私の期待の雛たちが遂に飛び立とうとしている。 まず最初は小縞だった
 セミファイナルでいきなりロゼのGWAヘビーにぶつけることにして、カードを連絡した。 すると、
「ええええええっ!? わ、私がですかっ!? なんで!? メロディさんとかいるじゃないですかっ」
「私はすでに負けましたわよ、ケルベロスさんも。 もちろんそのままにしておくつもりはないですけれど、まだその時じゃないですわ」
「そうだな。 それにこれは団体の経営面的な問題も大きい。 秘蔵の新人のデビュー戦は話題性がなければいけないってことだ」
「む、無理ですよーっ! 無理無理無理無理っ!!」
「社長ー。 小縞ちゃんにプレッシャーかけすぎー。 私だってそんなこと言われたら無理だよー」
「え、別にプレッシャーかけたつもりはないが・・・」
「秘蔵の新人、とか言ってんじゃんよ。 てーか私はどうなんよ」
「もちろんお前もだが?」
 ふはーっと大きなため息をついて真鍋が頭を振る
「本当勘弁してください・・・」
「ええー?」

 実際これは少々無茶だったらしく、当日小縞はリングインの時点で地に足がついてなかった。 観客の声援もどこ吹く風で、表情の凍りついた様を見ていれば結果は考えるまでもなかった
 ロゼが一方的に支配し、なんらいいところなく敗北

「あー・・・まぁ、なんか済まなかった・・・」
「あぁ社長、謝る必要はねぇよ。 あたしらはプロだ。 チャンスを活かせない小縞が悪いのさ。 ただまぁ仕方ねぇとも思うから説教はやめとくよ」
「はい・・・ケルベロスさんすいません・・・」
「謝るこたぁねぇよ。 デビュー戦ってのは練習とは違う。 ついでにタイトルマッチはふだんのリングとも違う。 それが経験できたんだ、今後に活きるだろ」
「は・・・はいっ!」
 これで自信を失ってヘコんでしまったらどうしようかと思ったが、ケルベロスのおかげで目に光が戻った。 正直助かった・・・小縞にかけた投資は正直それなりだ、ここで潰れてしまったらしゃれにならないところだった
「でー、社長。 私は? さとみんとは同期の私がまだデビューできないってのはどうなん?」
「当然お前も来月がデビューだ。 準備はできてるか?」
 横から顔だけこちらに向けて、絡んできた真鍋に返す
「んー・・・まぁぼちぼちかねぇ・・・。 さとみんみたいにいきなりタイトルマッチとかは勘弁してほしいけどー」
「ああ、わかってる。 ノンタイトルでケルベロスとシングルだ」
「えええええーっ!? なんでケルベロスさんさー! さとみんとかせめてメロディさんだろー! このボケ社長ーっ!!」
 本当に想定外だったようで、考え無しに叫ぶ
「あぁ? あたしじゃ不満ってか、真鍋」
 当然聞こえたケルベロスが反応する
「ケルベロスさんヘビーじゃんさー! 私ジュニアだっつーのっ!」
「あんだ、お前。 あたし以外なら勝てるってか? くやしいがメロディさんはジュニアなのにあたしに勝つぞ?」
「ぬ・・・ぐ・・・それは知ってますけどぉ」
「プロレスってのは勝つだけが全てじゃないさ。 お前はそれを知ってると思うんだが?」
 二人の会話に割って口を出すと、真鍋がきっと私を睨んで言った
「だぁらそれだよっ! ケルベロスさんとじゃ私がおいしくないだろ! 社長こそプロレスわかってんのかよっ」
 それを聞いて私とケルベロスが鼻で笑う
「ばぁか」
「そんなことはわかってる。 デビューの新人にわざわざおいしいカードは組んでやらんよ。 ハードルを上げてどれだけやれるか見るのさ」
 真鍋はバカではない、頭の回転がいい、だから口がまわる。 私たちの意図が理解はできたようではある、が感情的に納得できないようで、しばらく口を聞いてくれなくなった

 翌月、真鍋デビュー。 結果は想定通りケルベロス勝利。 しかしさすがに今やれるものは出していった。 感嘆すべきは敗戦直後だ。 トップロープに素早く昇ると毒霧を空に吹き
「勝った気になってんじゃねーぞっ!」
 と捨て台詞をして退場した。 その演出力に会場からは真鍋コール、勝ったケルベロスはしてやられたってところだ

 ・・・ただ、惜しむらくは真鍋は自分の立ち位置はわかっているようだが、今のうちの団体に彼女を活かすポジションが無い・・・。 どうしたものか・・・

 またこの月は新人が増えた。 早瀬という素直そうな少女だ。 以前に入った八島と比べると対照的すぎておもしろい。 八島と言えば、そのふてぶてしさからケルベロスと一悶着あるかと心配していたが杞憂に過ぎなかった。 私自身まだまだ彼女らを見た目で判断してしまっていると反省した次第だ


 悠理のデビューも近々・・・またWCWWという名が業界をざわめかす存在になろうとしている・・・。 私はそうほくそ笑むのであった



(終)
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