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数分で読める小話を置いてます。 暇潰しにはなるかもしれません。
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 (微妙に「アカイイト落語」から繋がってます)

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 さてさて、落語好きの桂おねーさんのために、今度こそ落語話をみんなでやってみましょうー。

 では若だんな役を桂おねーさん。
「う、うん。 がんばるね、葛ちゃん」
 番頭役にサクヤさん。
「ああ、わかったよ」
 父親のだんな役は烏月さん。
「わかりました」
 進行役はこの若杉葛でお送りしまーす。

「…で、葛ちゃん、肝心のお題は?」
 千両みかんで。
「あ、うん。 みんな、がんばろうねっ」
「へーい」
「はい」

ーーー

夏も最中のとある日のこと。 さる大家の若だんなが病の床についた。 とある医者の見立てでは、病の元は心だと。 なにはなんとも病は気からと申しまして…。

「えー、サク…番頭さん。 お医者様はああ言っていたが、桂さ…あの子は私には恥ずかしがって、胸の内を教えてくれない。 無駄かもしれないが、あなたから聞いてくれないですか?」
 …。 烏月さん、微妙にニュアンスが間違ってます。
「ああいいさ。 なんせあたしは、こーんな小さな頃からあの子を知っているからねえ」
 …。 サクヤさん、主従関係を忘れないでください。
「…。 小さな頃から知っているくせに悩みも知らないなんて、なんて使えない番頭でしょう」
「親なのに知らないよりかはマシだね」
 …。 あのー、二人とも。
「ま、でも、小さな頃は何度もキスをかわした仲のあたしが聞けば、すぐに教えてくれるさね」
「ちょ、ちょっと、サクヤさんっ!」
「ほう。 それは羨ましい。 私は先日初めてしたばかりですからね」
「なっ、烏月さんまでっ!?」
 …いいですね。 わたしはまだしたこと無いです…。 まあいいです。 今一緒に住んでいるのはわたしですから。 いずれは必ず。
「葛ちゃんまでーっ」

「…桂、あんた誰が本命なんだい?」
「そうですね。 はっきりさせましょう、私だと」
 当然わたしに決まってますよね、桂おねーさん?

「…えっと、その…お、お噺の続きをしようよ?」

「桂っ!」
「桂さんっ!」
 桂おねーさんっ!

「わたしのための落語話じゃなかったのーっ?」

閑話休題

「それで? 若だんな、一体何をそんなに思いつめているんだい?」
「そ、そんな事恥ずかしくって言えない…。 だって、絶対笑うもん…」
「笑いやしないさ。 あたしに言ってごらん。 なんとかしてみせるさ」
「そ、それじゃあ言うけど…」
 恥じらいの顔を浮かべ、若だんなが口を開く。
「艶があって、やわらかく、丸々とした…」
「あーあーあー、皆まで言わなくてもわかるよ。 そうだね、不安になる気持ちはわかるよ」

「え?」
「?」
 は?

「でも心配ならいらないよ。 真弓だってあれで結構大きかったよ。 桂にだって十分素養はあるさ。 …ま、でも、しょうがないね。 今日はあたしので我慢しておくれ」
「わ、ちょ、ちょっとサクヤさんっ、何で脱ぐのっ!?」
「さあ桂、好きなだけ触るなり、吸うなり、揉むなり…」
「オン・マカ・シリエイ・ジリベイ・ソワカっ!!」

閑話休題

…いつまでたっても話が進みませんね。
「この人を入れたのが間違いですね」
「何あたしだけが悪いみたいに言ってんだい。 桂がちゃんと続けてれば、問題無かったはずじゃないか」
「えーっ、わたしなのっ?」
 …続けさせる気なんか無かったくせに。
「サカってるだけでしょう」
「何か言ったかい? 烏月」
 いいかげんにして、ちゃんとやってください。

ーーー

「実は…みかん」
「みかん?」
「そう、みかんが欲しいの」
「はい。 もっといるなら買ってくるから待ってな」

「…」
「…」
 …。
「サクヤさん、いくらなんでも…」
 …誰でも考えつく現代オチですね。
「くだらなすぎる」
「こんな古い話今時誰が笑えるってんだい。 夏にみかんが無いなんてのは、今じゃ説得力が無いんだよっ」
「サクヤさん、話じゃなくて噺だよ」
 逆ギレしましたね。
「話になりませんね」
「そんなに言うなら、烏月、あたしと代わりな」
「どうしてそうなるのかわかりませんが」
「天下の千羽党の力を見せてもらいたいもんだね」
 …まあ、話も進みませんし、そうしましょうか。

ーーー

「実は…みかん」
「みかん、ですか?」
「そう、みかんが欲しいの」
「ではこれを」

「…。 『明暗』夏目漱石? …えっと…」
 未完、ですか。
「さすが真面目ぶった烏月らしいオチだね」
「あなたのよりよっぽど知的だと思いますが」
「二人とも…」
 二人とも、勝手にこんな所でオチをつけるのはやめてもらえませんか?

ーーー

 全く話が進みませんね。
「二人とも真面目にやってよ…」
「…面目無い」
「へいへい」
 このままではらちがあかないので、配役を大幅に変更しましょう。
「それじゃあ、若だんなは僕が…」

閑話休題

「…今ケイくんがいなかった?」
 いませんよ。
「…」
「知らないねえ」
「あれ?」
 では配役ですが、桂おねーさんには番頭役をやってもらって…。
「あたしが若だんなをやるよ」
「…。 何かよからぬことを考えていませんか?」
「どう言う意味だい?」
「みかんではなく、桂さんと言い出すとか…」
「烏月、あんたそんな事考えてたのかい? あんたには若だんな役はやらせられないね」
 …なんで否定はしないんですか、サクヤさん?
「…」
 これ以上お遊びはやってられないので、わたしが若だんな役をやります。 だんな役は烏月さん。 サクヤさんは進行役で。
「とか言って、あんたが言うつもりなんだろ?」
 言いませんよ、そんな事。
「そうだよ、サクヤさんは不真面目すぎなの」
 では続きから始めましょうか。

ーーー

 実は…桂おねーさんの唇。
「えっ!?」
 ちゅっ♪
「~っ!!??」
「葛あっ!!」
「つ、葛様っ!?」
 ごちそうさまでした♪

 と言う訳で、みんなで落語話をやってみようー、第2段、千両みかん、でしたー。 お後がよろしいようで…。

「待ちなっ、葛ーっ!」
「つ、つ、つ、葛様っ! 今のはいくらなんでもっ!!」
「全然よろしくないーっ、千両が出てきてないでしょーっ、葛ちゃんーっ!!」






「………んーっ、んーっ、んーーーっ!(ちょっとーっ、僕を置いてみんな行かないでくれよーっ!)」



(終)

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