数分で読める小話を置いてます。 暇潰しにはなるかもしれません。
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「いいのか?」
「ああ」
新幹線の車内。 向かい合って座る高校生くらいの男女。
「…なんとかすることなら出来るが」
「だったら僕を連れていってくれないか」
「しかし桂さんは…」
「烏月さん、君はだいたいの事情を知っているだろう。 なら桂が僕を知らないのは何故だと思う?」
「それは何年も会っていないからで…」
「いや違うんだ。 桂は記憶をしまいこんだんだよ。 僕らのせいで、父さんもゆーねぇもこの世からいなくなってしまった。 その事実に堪えられなかったんだよ」
「なら…尚の事、お前が支えてやるべきではないのか?」
少女の声に少し力が入る。
「無理を言わないでくれ。 僕だって正直自分の罪が重い。 原因は君のおかげで消えたけど、罪は消えてない」
「…だからそれは私が…」
「鬼切部や鬼切頭の力を使ってまでしてもらえる立場にはないよ。 だから烏月さん、君が桂の事を思ってくれるのなら、君が桂を支えてくれないか」
「…」
「君には迷惑ばかりかけて悪いとは思うけど…」
「…」
重苦しい空気が二人の間に流れる。 それを吹き飛ばすかのように少年は言葉を繋ぐ。
「それに兄妹とは言え、年頃の男女二人きりで暮らすのはマズいだろ?」
「………そうだな」
二人とも小さく笑みを浮かべる。 少し空気が和らいだ。
(終)
「ああ」
新幹線の車内。 向かい合って座る高校生くらいの男女。
「…なんとかすることなら出来るが」
「だったら僕を連れていってくれないか」
「しかし桂さんは…」
「烏月さん、君はだいたいの事情を知っているだろう。 なら桂が僕を知らないのは何故だと思う?」
「それは何年も会っていないからで…」
「いや違うんだ。 桂は記憶をしまいこんだんだよ。 僕らのせいで、父さんもゆーねぇもこの世からいなくなってしまった。 その事実に堪えられなかったんだよ」
「なら…尚の事、お前が支えてやるべきではないのか?」
少女の声に少し力が入る。
「無理を言わないでくれ。 僕だって正直自分の罪が重い。 原因は君のおかげで消えたけど、罪は消えてない」
「…だからそれは私が…」
「鬼切部や鬼切頭の力を使ってまでしてもらえる立場にはないよ。 だから烏月さん、君が桂の事を思ってくれるのなら、君が桂を支えてくれないか」
「…」
「君には迷惑ばかりかけて悪いとは思うけど…」
「…」
重苦しい空気が二人の間に流れる。 それを吹き飛ばすかのように少年は言葉を繋ぐ。
「それに兄妹とは言え、年頃の男女二人きりで暮らすのはマズいだろ?」
「………そうだな」
二人とも小さく笑みを浮かべる。 少し空気が和らいだ。
(終)
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